Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、パチパチと竹のはぜる音。火だ。迷路の藪が燃えているのだ。

逃げ出した殺人鬼共が、手早くも竹藪に火をつけて、この見世物小屋を焼き払おうと企てたのだ。罪跡をくらます為か、逃亡を容易にする為か、迷路の中の探偵や警官達を苦しめる為か。無論そういう事も含まれていたであろうが、彼等の真の目的はもっと別の所にあった。あくまで執念深い妖虫は、餌食の珠子を、彼女の無残な殺害を、このまま思い切ることが出来なかったのだ。火事の騒ぎに乗じて、彼女を奪い返そうと企てたのだ。

枯れ切った竹藪は、パチパチと威勢のいい爆竹の音を立てて、忽ち燃え拡がって行った。闇は見る見る追いのけられて、不気味な紅の一色に染め替えられて行った。渦巻く焔は、数知れぬ巨獣の赤い舌であった。それが今や、幾重の竹藪を嘗め尽して、恐ろしい速度で、こなたへこなたへと迫って来る。

もう賊の逮捕などに未練を残している場合でない。先ず我身の安全を計らねばならぬ。追い縋る焔と駈けっこで迷路を抜け出さねばならぬ。

「三笠さんを、頼みましたよ」

守青年は警官達に大声にわめいて置いて、自分は、失神からさめたばかりで、まだグッタリしている妹の珠子を抱き起すと、いきなり肩に担いで走り出した。