Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
火のない方へ、火のない方へと、竹藪の幾曲りを、もどかしく、走り続けた。行手に敵が待伏せしていようなどとは、思い廻らす余裕もなく。
ハッとすると、何かしら柔かい物が彼の足を掬った。不意をうたれて、みじめにぶっ倒れた。冷い土が鼻面に、口の中に。
痛さに暫くは身動きも出来ないでいると、背中に負ぶさっていた珠子の身体が、スーッと宙に浮いて、その代りに、チクチクと肌を刺す竹藪の一塊りが、彼の上にドッと倒れかかって来た。
咄嗟に珠子を奪われたことを気附いたが、もがけばもがく程、覆いかぶさった竹藪がこんがらがって、加勢を求めようにも、その辺に味方の影もなく、兎角する間に、珠子を奪い取った賊は、遙かの闇に逃げ去ってしまった。
やっとの思いで、彼が竹藪の下から這い出した時には、珠子は勿論、賊の姿も見えず、味方もどこへ行ったのか、三笠探偵の安否さえ分らぬままに、目を圧して迫って来るのは、ただ紅蓮の焔であった。殺人鬼の執念を象徴するかの如き、数知れぬ大蛇の真赤な舌であった。
八裂き蝋人形
守青年はそれからどうしたか。痛手を負った三笠老探偵は、果して無事に火中を脱することが出来たか。