Japanische Klassiker mit Furigana
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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
Lesen Sie 山岳紀行文集 日本アルプス (あずさがわのじょうりゅう) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.795 Zeichen · 274 Bildschirme
勝又が名を言うと「山けえ」と老人らしい声がしたがそのまま寂ッそりとする。「御馳走さまで」と、案内者は水の礼を述べて、いよいよ裾野の中へ入る。
白い吹雪が大原の中を、点々と飛ぶ、大きく畝ねる波系が、白くざわざわと、金剛杖に掻き分けられて、裾に靡く、吹雪は野菊の花で、波系は芒の穂である。悪い雲が低く傾いて、その欠け間から月を見せる、立木の腹が、夜光の菌でもあるように、ボーツと白く明るくなった。
知らぬ間に、爪先上りとなって、馬返しまで着くと思いがけなく村の男女が、四人ばかり籠をしょって、こっちを見ている。禁制の官林に潜り込んで、何か内密の稼ぎをするらしい。知ってる顔と見えて、案内者は薄明りに、二言三言挨拶をして行き過ぎる。
明け行く夜は、暁天の色を、足柄山脈の矢倉岳に見せて、赤蜻蛉のような雲が、一筋二筋たなびく、野面は烟っぽく白くなって、上へ行くほど藍がかる、近処の黄木紅葉が、火でも点されたようにパッと明るくなる、足許の黒い砂には、今まで見えなかった楢の落葉や、松の繋ぎ葉などが、シットリと舐められたように粘ッついている。朝日を反映さする金茶色の唐松と、輝やく紅葉――そのくせ、もう枯れ枯れに萎び返って、葉の尖はインキを注したように、黒くなって、縮れている――で、夏ならば緑一色のちょんぼりした林が、今朝は二、三