Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
そんな事を知らずに、その人達が自分の畑のような気になって勝手に葱なぞをとったりしていた事が分かろうものなら、爺やは恐ろしい権幕で呶鳴りこんだりしたものでした。日向さんの奥さんは葱一本ぐらいのことで、その方たちに申訣けがないと一人で気を揉んでおいででしたが、別に爺やを叱ることもせずにそのままにして置かれたようでした。どうせこんな山村のことですから、どこの爺やも難物ぞろいでしたが、まあ日向さんの爺やといえば、その中での難物でした。
「そんな風に、奥さんの方でも御主人の亡くなられた跡はともすると爺やに一目置いているように見えましたが、それは一つには爺やにやるものを殆どやらずにいたからでもあったのでしょう。その代りに、いま売りに出している別荘が売れたら、少しは纒った金を分けてやるような約束をしておいたらしいのです。ところが漸っとその別荘が売れた。五年前のことです。買手は関西の或実業家で、仲に立った奥さんの甥を相手にさんざん値切って、それを五千円で買いとった。前から見ると無茶な値ですが、よほど奥さんの方もお困りになって来られたものと見えて、それをとうとうそんな値でお手放しになってしまわれた。