Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
が彼等にそんな遊戯を思いつかせるのだが――心もちにさせる、いかにも日常生活的な、珍らしくもない雑草だった。
しかしながら、その「赤まんま」というなつかしい仇名とともに、あの赤い、粒々とした花とはちょっと云いがたい位、何か本当に食べられそうに見える小さな花の姿を思い浮べると、いまだに私には一人の目のきつい、横から見ると男の子のような顔をした少女の姿がくっきりと浮ぶ。それから、もう一人の色つやの悪い、痩せた、貧相な女の子の姿が、その傍らに色褪せて、ぼおっと浮ぶ。それからその幼時の私のたった二人っきりの遊び相手だった彼女たちと、庭の無花果の木かげに一枚の花莚を敷いて、その上でそれ等の赤まんまの花なんぞでままごとをしながら、肢体に殆どじかに感じていた土の凹凸や、何んともいえない土の軟か味のある一種の弾性や、あるときの土の香りなどまでが……
そうして私はそういうとき、自分の前に、或時はすっかり冬枯れて、ごつごつした木の枝を地中の根のように空へ張っていた、――或時は円い大きな緑の木蔭を落して、その下で小さい私達を遊ばせていた、一本の無花果の木をありありと蘇らせる。