Japanische Klassiker mit Furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Lesen Sie 式部小路 (しきぶこうじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.847 Zeichen · 149 Bildschirme
「大分おとなしいのね。」
「お嬢様、ちとお叱んな……」と台所から。
「なッ!」
とだしぬけに押伏せて、きょとんとして、
「納豆、納豆ウい、納豆、納豆ウ、」
「おばさん、屑屋より、この方にすれば可かったのね。」
女房は火を入れながら、生真面目に、
「どちらがどちらとも申されません。」
「お嬢さん、」と仰ぎさまに、酒くさい口をあけて、熟と顔を視て、
「そんな時に、私を尋ねて下さりゃ可いんだのになあ、」
「それだって、お前、来てくれたって、逢ったって、お酒も飲ませられないし、煙草も与れないし、可哀相だもの。」
「いえ、頂こうというんじゃねえんで、そんな時だ、私あ、お嬢さんにどうにかすらあ。盗賊でも、人殺でも、放火でも何でもすらあ。ええ、お嬢さん、」
「愛吉、難有うよ、」
とかけた手で、軽く二ツばかり揺ぶって、うつむきざまにはらはらと落涙した。
ただ、ここに赫としたのは台十能の中である。
「二階へおいでな。」
「ええ、なに………」
「構いはしないよ。」
「ええ、なに………」
「もう、お嬢様、この方はね、」
「おっと納豆ウ、納豆、納豆い、」
「あの、唯今、屑屋さんのかわりに、私の蘭蝶をお聞きなさろうという処なんでございます。