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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Lesen Sie 恐怖王 (きょうふおう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.038 Zeichen · 133 Bildschirme

Aozora Bunko

王」という活字が見えた。

「オヤッ」と思って、それを追ったが、小さなつむじ風が、どこまでも紙片を運んで行くので、ついそれに引かされて、海岸へのダラダラ坂を降り切ってしまった。

やっと紙片をつかまえて、読んでみると、例の怪賊についての号外かと思ったのが、そうではなくて、やっぱり、賊の不気味ないたずらであったことが分った。紙片には、例の米粒と同じ様に、「恐怖王」という初号活字が、まるで活字屋の見本の様に、べた一面に並んでいた。

「賊の広告ビラだな。併し、何という気違いだろう。こうして到る所に自分の名前を広告するなんて。馬鹿か、でなければ、恐ろしく自信に満ちた奴だぞ」

稚気と云えば稚気に相違ないけれど、こういう稚気のある奴に限って、ずば抜けた独創力に恵まれているものだ。東西の犯罪史を繙けば分る様に、大犯罪者であればある程、常人には理解し難い様な、子供らしい、馬鹿げた虚栄心を持っているのだ。

そんなことを考えながら、ヒョイと目を上げて海岸を眺めると、これはどうしたというのだ。水泳の時期をとっくに過ぎた海岸に、真夏の様な夥しい群衆が群がっているではないか。

その人達は無論水着を着ている訳ではなく、漁師の細君連中、海岸近くの商家の小僧さん達、中には都会風の紳士、淑女も混って、皆一様に空を眺めている。