Japanische Klassiker mit Furigana
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あいはふしぎなもの
愛は不思議なもの
小川 未明
Lesen Sie 愛は不思議なもの (あいはふしぎなもの) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.862 Zeichen · 10 Bildschirme
」といううわさを、まだ、だれからも聞かなかったからです。
彼女の叫び声は、冷たい空気の中へ、むなしく消えました。そして、ようやく、あちらのしらかばの林から昇りかけた、朝日の光が、鏡のような氷の面をぽうっと染めたとき、小さな子供の影が、岸の近くから離れて、もっと、もっと、あちらへ飛んでゆくのを見ました。
「坊ちゃあん!」と、彼女は、わめきながら、いつのまにか、自分も、氷の上を駆けていました。そして、だんだん、その小さな黒い影に近づいた時分、彼女の体の重みを支えるほど、まだ厚くなっていなかったとみえて、ふいに、氷は破れて深い水中に落ち込んでしまいました。
幾年かたって、坊ちゃんであった子が、いつしか、少年となりました。そして、両親や、また、村の人々から、自分の守りであった、おしずの話を聞いて、いたく心を動かしました。
「ほんとうに、かわいそうだな。そんなにまでかわいがってくれたのかしらん。どんな顔をしていたろう……。」
少年は、空想しました。冬の寒い晩に、空にきらきら輝く星を見ると、その中に、おしずの霊魂が星となってまじっていて、じっとこちらを見ているのでないかと思いました。