Japanische Klassiker mit Furigana
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ししょ
戦国武士道物語 死處
山本 周五郎
Lesen Sie 戦国武士道物語 死處 (ししょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.176 Zeichen · 33 Bildschirme
「さればこのたびは全軍進発ときめた」
輝虎はつづけて云った。
「留守城の番はいちにん、兵は五百、余はあげて信濃へ出陣をする。したがって留守城番に誰を置くかということは」
「申上げます」
とつぜん声をあげて、石川備後が座をすすめた。
「仰せなかばながら、わたくしは信濃へお供をつかまつりまするぞ。留守番役はかたくお断わり申します」
「越前めも、留守役はごめんを蒙ります」
長尾越前がおくれじと云った。するとそれにつづいて列座の人々がわれもわれもと出陣の供を主張し、留守城番を断わると云いだした。もっとも善かれ悪かれ決戦ときめた戦である、誰にしてもこの合戦におくれることはできないにちがいない。みんな肩肱を張って侃々とののしり叫んだ。
輝虎はだまっていた。いつまでもだまっているので、やがて人々はだんだんとしずまり、ついにはみんなひっそりと音をひそめた。
そこで輝虎はあらためて一座を見まわし、よく徹る澄んだ声で云った。
「おれから名は指さぬ。しかし誰かが留守城の番をしなければならぬのだ。誰がするか」
「……わたくしがお受け申しましょう」
しずかに答える者があった。みんなあっといった感じで声の主を見やった。