Japanische Klassiker mit Furigana
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ししょ
戦国武士道物語 死處
山本 周五郎
Lesen Sie 戦国武士道物語 死處 (ししょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.176 Zeichen · 33 Bildschirme
城を守る者
一
一
「甲斐のはるのぶと槍を合せることすでに三たび、いちどはわが太刀をもって、晴信を死地に追いつめながら、いまひと打ちをし損じて惜しくものがした」
上杉輝虎は、けいけいたる双眸でいち座を見まわしながら、大きく組んだよろい直垂の膝を、はたと扇で打った。
「だが、このたびこそは、勝敗を決しなければならぬ。うちつづく合戦で民のちからは衰え、兵もまた労れた。いたずらに甲斐との対陣をながびかすときは、思わぬ禍が足下からおこるとみなければならぬ。善くも悪くも、このたびこそは決戦のときだ、このたびこそは勝敗を決するのだ」
かれの声は、館の四壁をふるわして響きわたった。
弘治三年(一五五七)七月、越後のくに春日山の城中では、いま領主うえすぎ謙信を首座として、信濃へ出陣の軍議がひらかれていた。集っているのは上杉の四家老、長尾越前政景、石川備後為元、斎藤下野朝信、千坂対馬清胤をはじめ、二十五将とよばれるはたもと帷握の人々であった。……上杉と武田との確執について、ここに精しく記す要はあるまい。「川中島合戦」といわれる両家の争いは天文二十二年(一五五三)から永禄七年(一五六四)まで、十年余日にわたってくりかえされたものであるが、このときはその四たび目の合戦に当面していたのである。