Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ししょ

戦国武士道物語 死處

山本 周五郎

Lesen Sie 戦国武士道物語 死處 (ししょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.176 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

「よいか信次」

吉信はしずかにつづけた。

「父はおのれ一族の名をあげ、その方共に高名出世をさせとうてご随身申したのではない、一家一族をささげて徳川のいしずえとなるためにお仕え申したのだぞ」

「…………」

「ご馬前にさき駈けして、はなばなしくたたかうも武士のほんぶんではある、けれどもそれは、今そのほうが申したような心懸ではかなわぬことだ。そのほうの頭には夏目の家名がしみついておる、おのれこそあっぱれもののふの名をあげようという功名心がある、ご主君のために髑髏を瓦礫のあいだに曝そうと念うよりさきに、おのれの名を惜しむ心がつよい。信次、虚名とはすなわちそのような心を申すのだぞ」

「…………」

「一期のご合戦に先陣をのぞむのは誰しもおなじことだ、けれども誰かは留守城をあずからねばならぬ。先陣をつるぎの切尖とすれば本城のまもりは五躰といえよう、五躰のちからまったくしてはじめて切尖も充分にはたらくことができるのだ、たとえ先陣、留守の差はあっても、これを死處とする覚悟に二つはないぞ、わかるか信次」

信次は両手をついて噎びあげた、身命も捨て名も捨てた父のこころが、はじめてわかったのだ。