Japanische Klassiker mit Furigana
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ししょ
戦国武士道物語 死處
山本 周五郎
Lesen Sie 戦国武士道物語 死處 (ししょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.176 Zeichen · 33 Bildschirme
たたかいは必死の際におし詰められている、浜松に敵の一兵もいれてはならぬのだ、評定は出陣ときまった、いずれもすぐその用意につけ」
「はちまん」
本多忠勝(平八郎)が膝を叩いて叫んだ、
「それでこそ一期のご合戦、われら先陣をつかまつりましょう」
「先陣はこの酒井こそ承わる」
出陣ときまって気英の人びとはたがいに膝をのりだした。守戦をとなえた老臣たちも、事がきまればいささかも逡巡するところはない、すぐ軍くばりにとりかかった。
「総勢出陣ときまれば、この本城のまもりをどうするか」
「まもりは置かなければならぬ」
「誰を留守にのこす」
「この一期のいくさに遺るものはあるまい」
「しかし城を空にはできぬ」
斯ういう場合のいちばん困難な問題がはたと人びとを当惑させた。にわかにみんな口をつぐんだ、主家の運命を賭する一戦、いまこそ武士の死すべきときである、この戦におくれたらもののふの名はすたるのだ。
しわぶきのこえも聞こえなくなった一座のかた隅から、そのときしずかに名乗りでる者があった。
「おそれながら、ご本城のおん留守はわたくしがおあずかり申しましょう」
みんなの眼がそのこえの方へ集った。