Japanische Klassiker mit Furigana
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ししょ
戦国武士道物語 死處
山本 周五郎
Lesen Sie 戦国武士道物語 死處 (ししょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.176 Zeichen · 33 Bildschirme
二千に足らぬ兵と留守城のまもりをあずかった夏目吉信は、玄黙口のやぐらの上にのぼって、兵馬の去って征った闇のかなたを、身じろぎもせずに見まもっている。
「なさけのうござります、信次には父上のご所存がなさけのうござります」
信次のこえは喉につまっていた、
「すぐる永禄九年(一五六六)におみかた申してより、いつの戦にもご馬前のはたらきかなわず、家中の人びとからは絶えずに降参人、ごれんみんの者という眼で見られております、このたびこそは先陣にうっていで、めでたき死にざまを見せて夏目の家名をたてるべきときと存じましたのに、これでわれら一族の名も泥上にまみれてしまいました、あまりと申せばなさけなきおふるまい、ざんねんにござります」
信次は面をおおい、床板にどっかと崩れて泣きだした。
夏目吉信は徳川恩顧の者ではなかった。彼は参河ノ国額田郡の郷士であって、永禄六年九月、一向宗徒が乱をおこしたとき、大津半右衛門尉、乙部八兵衛尉らと共に一揆の徒にくみし、野羽の古塁に拠って反旗をひるがえした、家康はただちに松平主殿助伊忠に命じてこれを討たした。伊忠は深溝城をまもっていたが、神速に兵をだして野羽のとりでを囲み、困難なたたかいの後、乙部八兵衛尉のうらぎりに依って城を乗取り、ついに夏目吉信をいけどりにして勝った。