Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
Lesen Sie 探偵小説の「謎」 (たんていしょうせつのなぞ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.820 Zeichen · 235 Bildschirme
それは、自己の優越を証明するための犯罪と、逆に自分の持つ劣等感に対して復讐するための犯罪である。
優越感と劣等感は盾の両面であって、自己の優越を証明しなければ承知ができないということは、意識下に劣等感があるからこそだともいえる。その劣等感を征服するための優越慾なのである。スタンダールの「赤と黒」やブールジェの「弟子」の主人公の、あの優越慾と自負心の裏には、社会的に下層の家に生れたという劣等感が伏在している。そういうような盾の両面ではあるが、探偵小説には、優越慾の方を表に出したものと、劣等感の方を表に出したものと二様の例がある。前者の適例はシムノンの「或る男の首」の犯人の心理であろう。あの犯罪は貧困と不治の病の絶望からきた富裕階級への嘲笑として行われたもので、そこには劣等感と優越慾とが、みごとに織りまぜられている。また、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」の犯人も憎悪や利慾では説明のつかない、優越感そのもののために多数の人を殺すが、彼の劣等感は老齢のために学問研究の能力を失ったことにある。もう一つは、フィルポッツの「赤毛のレドメイン一家」の犯人で、彼の場合はむろん利慾を伴っているけれども、社会生活の弱者が犯罪の世界において傲然として自己の優越を証明せんとする心理が多分に働いている。