Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
だが、光秀の口からはなお何の合図もない。光秀は、自分の前に泣き伏した光春を見まいとするもののように、凝然、面をそむけていた。
「書は人いちばい読み、理性は誰よりも明るく、お年も人の分別ざかりを越えて、何事にまれ、お弁えのないことはないあなた様だけに……愚鈍な光春は、いいたいにも、いう言葉に困ります。けれど私ごとき者でさえ、忠孝の二字だけは読んで、心に咬んで、血に入れておりまする。たとえ万巻の書が胸中におありであろうと、これを見失われては、何もなりますまい」
「…………」
「殿。聞いていて下さいますか。――名族土岐源氏のながれを汲んだおたがいの血しおは、ひとつものだと信じて申し上げるのです。ひとたび家門の名をけがしては、あまた御先祖がたの霊にたいし、生める親たちにたいしても、大不孝ではございませぬか。しかしあなた様はいま、何人の子の親御様でいらせられますか」
「…………」
「嫁がれている御息女や、他家の御養子となられている御子息たちも、またあと幾人もの幼い者まで――いや子々孫々にいたるまでが、あなた様のお心ひとつで、いかに世の果てまでも、辱ある思いをして行かなければならないかを……」