Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

「数えれば限りはない。左馬介、この光秀の思い立ちは、あらゆるものを超えている。何事も万々承知だ。しかもなお光秀は決して思い歇もうとはせぬ。堪忍に堪忍をかさね、考えに考えぬいたあげくである。よせ。むだな諫言はよせ。お汝のいうぐらいな思慮は、夜ごと夜ごと、光秀たりと、繰り返しては、思いに思うた。……ああ、ただ一言、顧みて五十五年の道を見れば、この身が、武門にだに生れなければ、かくも悩むまい。またかかることも思い立つまい」

「さ。その武門なればこそです。たとえいかほど御堪忍なり難いことあろうと、かりそめにも、主君に対し奉っては」

「信長たりと、足利義昭を追っている。また叡山の焼打、幾多の悪業は人も知るところだ。見よ彼の宿老、林佐渡、佐久間右衛門父子、荒木村重。ひとの末路とのみは思えぬ」

「あわれ、殿。丹波六十万石を下され、惟任の姓をも賜わって、一門なに不足なく、かくある御恩をも思いたまえば」

この語は、それまで、井の水のようであった光秀を、いちどに奔河の形相にさせた。

「これしきの恩禄が何だ。光秀に才なくばこれもあるまい。しかも、その働きを、用い尽せば、彼の目には、安土に飼える狆か、無用の贅物としか見えなくなって参るのだ。