Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
煙は、表御堂からも、殿中の一室からも、大台所からもほとんど同じ頃に噴き出した。
大台所では、小姓の高橋虎松と、二、三の者が、鬼もあざむくような奮戦をしていた。
ここでは納所の僧が、疾く起きていたらしく、僧の影はひとりも見えないが、二斗炊きの大釜をかけた竈の下には、薪が焚きつけてあった。
虎松は、大土間の戸口に立ち、混み入る明智の者を、のっけに二人まで突き刺し、槍を奪われて、多数に立ち向われるや、板敷へ上がって、厨房の器具を手あたり次第投げつけて防いだ。
針阿弥という茶道の者、平尾久助という年少の小姓も、切っ先をそろえて、彼とともに力戦した。武装もせぬ弱冠の敵が、わずか三、四名に過ぎないのだと見縊りながらも、多くの甲冑武者は、容易にそこの板縁まで踏みのぼることができないでいた。
「何を手間取っているか」
部将らしい一武者は、ここを覗くと、竈の下の火の薪をつかみ出して、いきなり高橋虎松や針阿弥などの面を狙って投げつけた。また、納戸の内へも投げ入れ、天井へも抛りあげた。
「奥へ」
「奥にこそ」
信長が目標である。途端に、どどどっと押し上がり駈け入り、武者草鞋は薪の火を踏み散らして屋内へ分れた。