Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
その後はもうここかしこ蔦紅葉のように柱やふすまを這う火であった。ふたたび動くことなき虎松や針阿弥の姿にも火がついていた。
厩の方面は騒々しい。十頭ほどの馬が床を蹴り羽目板を打って狂いぬいている。うち二頭ほどはついに横木を外して外へ暴れ出した。これは狂奔して、明智勢の中へ飛びこんで行ったが、あとの馬は、火を見ていよいよいななき猛っているのみだった。
厩方のさむらい矢代勝介、伴太郎左衛門兄弟、村田吉五などはそこを去って、信長の姿の見えた御殿の階下に立ち、ここを最後の奉公場所としてみな討死の枕をならべた。
逃げようとすれば逃げられないこともなかった厩中間の端にいたるまで、それらの組頭について二十四人悉く戦って死んだ。虎若、小虎若、弥六、彦一、岩、藤九、小駒若などという御小人たちである。日頃は名もなき輩といわれていたのが、血を以てする奉公の一日には、禄の隔てにも官位の高さにも劣らぬことを無言で示した。
健気にもゆかしい男は、町中の宿所にいた湯浅甚助と小倉松寿の二小姓である。変を知るやふたりとも、本能寺の中へ駈けつけて来た。おそらくは明智勢の混雑のなかを無二無三紛れこんで入ったものであろう。