Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
すると、青鷺の一人が、
「やっ、今のは?」
と、道から林の中へ、脱兎のように、駈けこんだ人影をみとめて、
「怪しいぞ」
と、ほかの者へ注意した。
「いや、ただの百姓が、おれたちを怖れて逃げたのだ」
という者があり、また、
「いや、女らしかった」
「いや、敵兵かもしれない」
など、まちまちだったが、三蔵は、
「捕まえてみれば分る。むだでも何でも、捕まえてみろ」
と、自分も、まッ先に、林の中へとびこんだ。
あなた、こなた、鹿を狩るように追いまわした。ついに、かの女は、捕えられた。
「この百姓女めが」
「なんで逃げまわったか」
「何か、おそれるわけがあるから逃げたにちがいない。つつまず申せ」
「いわねば、裸にするぞ」
青鷺組に取りかこまれて、この女は、ぺたんと大地に坐っていた。唖のように、白い顔を、振って見せるだけだ。
「おやっ……?」
三蔵が、ふいに、どなった。
星明りをすかして、じっと顔へ顔を近づけ、われを忘れて、また叫んだ。
「これや、於通だ。……おめえは、於通じゃねえか」
仲間の青鷺達は、意外な顔して、
「三蔵。おめえは、この女を、知っているのか」
「知ってるどころの沙汰じゃあねえ! この女あ、おれのいいなずけなんだ」