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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

火と火である。

疑心暗鬼と、疑心暗鬼との兵であった。当然、血みどろな激戦となった。

笠寺は崩れた。城将の戸部新左衛門は、駿府の援兵を待ちきれずに、居城を焦土にして、火の中に奮戦して死んだ。

「勝った」

「凱歌をあげろ」

焦土の城へ、なだれ込んだ鳴海勢は、負傷、戦死、夥しかったので、半数以下になっていたが、それでも余勢を駆って、まだ煙のいぶっている焼け跡の城地にのぼり、太刀、槍、鉄砲など一斉に振って、

――わあッ。

――わああッ。

高らかに勝鬨を合わせた。

そこへ鳴海から、惨めな騎馬武者や徒士の兵が、三々五々、逃げくずれて来た。

「何事か」

驚いて、山淵左馬介が訊くと、

「さても、信長めの兵は迅い。どう知ったのか、手薄の留守城へ、一千余りの兵がふいに殺到して、遮二無二攻めたてられましたので無念ながら!」

と、喘ぎ喘ぎの報告だった。

しかも、城地を占領されたのみではなく、まだ体の恢復しきれていない子息の山淵右近は、雑兵に捕えられて、首を刎ねられたともいうのである。

たった今、凱歌をあげていたばかりの山淵左馬介は、暗然と、自失してしまった。自身の攻め取った笠寺の城地は、焼け跡の灰と、領民のいない城下でしかなかった。