Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

見廻してみると、

「おいおい、木下」

と、台所の方から、男の声がする。

「おう、貴公か」

「貴公かもないものだ、何処へ行っておられたのだ。自分の持った新屋敷を、人に掃除させたり、家事万端までやらせておいて」

それは、藤吉郎が炭薪奉行を勤めていた頃の、お蔵衆や、台所方の同僚たちだった。

「おやおや。いつの間にか、結構住めるようになっているじゃないか」

ひとの家みたいなことを云いながら、藤吉郎は、中へはいった。

どこからか酒が来ている。

新しい塗箪笥もある。茶棚もすわっていた。

それは皆、日頃いつのまにか、彼を慕い、彼を徳としていた者が、彼の栄転を伝え聞いて、持ち込んで来た祝であった。

そういう友達や彼の知己は、祝の品を持っては来たが、暢気な主が見えないので、勝手に掃除をし始め、ついでにと、家具を据えたり、門まで洗ってしまったところだった。

「やあ、どうも、どうも」

藤吉郎は、頭を掻いて、早速、自分で出来ることを手伝った。

彼の出来ることというのは、精々、酒を銚子へ移して、膳へのせることぐらいなものだった。

「まあ、御主人は」

と、薪山以来、恩義に思っている商人たちは、肴の仕度も、買物も、何もかも小まめに働いて尽してくれた。