Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

……よいか氏真」

「はい」

「何を不満な顔しておる」

「何も不満には存じません」

「然らば、立ち去れ。小禽など飼っている時世ではない」

「……で。では」

「何じゃと」

「京の唄姫と酒などのんで、昼から舞うたり鼓を打ったりしておる時世だと、仰っしゃいますのか」

「だまれ、小賢しゅう」

「でも、父君には」

「おのれッ」

義元は、持っていた扇子を、氏真の顔へ投げつけて、

「父をあげつらうよりも、そちはそちの分を守れ。兵法軍学に心を寄せるでなし、治民経世について学問をするでなし、左様なことでは、義元の跡はつげぬぞ。父は、若年まで、禅寺にはいって、つぶさに苦行も舐め、数度の合戦も践み、たとえ今はかくあろうとも、なおなお、大志を抱いて中原を望んでおる。そちのような、小胆、小志の者が、どうして義元の子にできたか。義元の今に何の不足もなけれど、ただそちにのみは、憂いを覚える……」

いつのまにか義元の扈従たちも皆、大廊下に指をついてうずくまり、義元のことばに胸をうたれて、等しく暗然とさし俯向いていた。

「…………」

さすがの氏真も、頭を垂れて、足下に落ちている父の扇を見つめていた。

そこへ、表の侍が、