Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
貴公、近所の屋敷へは、ひと通り挨拶に廻ったのだろうな」
「いや、まだ……」
「何だ、まだか。――先様から挨拶に来るまで、舞ったり歌ったりしておるやつがあるか。さあ、羽織を着直して、一まわり先へすまして来るがよい。近所へ引っ越しして来たことと、厩衆へ勤めることに相成りましたからよろしくと――そう二つの挨拶をかねて、一軒に一つずつお辞儀して廻るのだ」
四、五日すると、世話する者があって、下婢と同じ村の者という男が、中間奉公を望んで来た。また、一人の若党も、べつな方から召し抱えた。
曲りなりにも、小屋敷一つ持ち、奉公人も抱えて、これで藤吉郎は小扶持にせよ、一戸の主とはなった。
家を出る折は、下婢や若党に、
「行っていらっしゃいまし」
と、送られて出る身となり、例の古着店で買った、青木綿に大きな桐の紋のついているひらひらな陣羽織に、太刀を佩いて、
「行って来るぞ――」
は、悪くない気持であった。
この上に、あの寧子が、宿の妻となっていたら、申し分ないが――と思ったりしながら、今朝も、清洲城の外濠を歩いて来た。
すると、彼方からにやにや笑いながら来る者があった。藤吉郎は濠を覗きながら歩いていたので気づかなかった。