Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

――わからぬぞ、この頃の娘も、若い者も」

と、立ち塞がれて、上がり口に立ち淀んでいる藤吉郎を振り顧って、

「はははは」

と、笑った。

藤吉郎は、ここでも、頭ばかり掻いていた。しかし、恋人の家へ、恋人の父に誘われて来たのは、何か大へんな恩遇に恵まれたような気がして、動悸を覚えた。

「さ。――お通り」

と、又右衛門は、先に立って、客間へ彼を誘った。

客間といっても、わずか十畳の一室が、この邸の、最上の部屋だった。

弓之衆ばかりが住んでいるこのお長屋も、きょう彼が見て来た自分の屋敷と、似たり寄ったりの、小さな貧しい家だった。

もっとも、織田家の一藩のすべてが――老職から足軽まで、そう差別のない程度の、質素ではあったが、何しても、武具のほか、客間にもさして目につく家財もなかった。

「寧子はどこへ行った。寧子のすがたが見えぬではないか」

「自分の部屋におりまする」

と、彼の妻は、客へ、白湯など汲んですすめながらいう。

「なぜお客へ、改めてごあいさつをしに来ぬか。わしがいれば、逃げまわっておる」

「そういうわけではございませぬが、外着をかえて、髪など梳いているのでございましょう」