Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
「藤吉郎、嘘を申すのではありません。いちど寧子どののお胸を、あなた様から聞いて戴きたいものです」
と、いった。
怺えに怺えていた又右衛門は、もう勘弁がならないといったように、後ろを向いて、
「こひ。こひ!」
妻を呼びたてた。
滅多に、大声など出さない良人が、さっきから激している様子に、彼の妻は、襖近くにいたらしかった。
そこを開けて、
「寧子を呼べッ。……呼んで来いッ」
「はい」
しかし、彼女は、心配そうに、良人の顔を仰いでばかりいて、起たなかった。
「なぜ呼ばん」
「でも……」
彼女が宥めかけると、又右衛門は妻の手をついている頭ごしに、
「寧子ッ。寧子ッ」
と、呼び立てた。
寧子は、何事かと驚いたらしく、そこへ来て、母の陰に手をついた。
「はいれ!」
又右衛門は、厳格にいって、すぐ問い糺した。
「そなたは、これにおる木下殿と、まさか、親のゆるさぬ約束事など致しはすまいな」
「…………」
寧子には、唐突だったにちがいない。父の気色と、その前に、首を垂れている藤吉郎の姿とを、つぶらな眼で見くらべていた。
「どうなのだ寧子。家名にもかかわる。また、これから嫁ぐ身の潔白のためにもだ。