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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

また、黒末川の東岸から南へ一筋の街道が白く見える。鷲津は、その街道の北側の山地にあり、もう焼かれ尽したか、余燼も力なく、いちめんに野路や海辺を煙らせて見える。

その附近の畑や、部落のまわりに、虫のような小さい人影や軍馬がたくさん見える。山の手のほうに拠っているのが、今川方の将朝比奈主計の軍勢であり、街道よりに陣しているのが、三河の松平元康の兵と見えた。

「たくさんいるなあ」

藤吉郎は、小国の兵馬の中にばかりいるせいか、敵の大規模な兵力を見ると、よくいう雲霞の如く――という言葉がそのままに思い出された。

しかも、松平、朝比奈などの軍は、ほんの敵の一支隊であることを考えると、

「なるほど、信長様の御決心も、これは当然だわい」

と、思った。

いや他人事ではない。

自分も、この世に糞をひるのも、今が最後のものと思った。

「人間て妙なものだなあ。これで明日はもうこの世にいないのか」

そんなことまで考えたりしていると、ふと誰やら下の沢のほうから、がさ、がさ、と、灌木をかき分けて上って来る者がある。

「ヤ、敵?」

戦場でのこの直感は、ほとんど本能的にすぐ頭を突きぬくものだった――敵の物見が信長の居陣の背後を探りに来たものと、彼はすぐ考えたのである。