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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

大声をあげながら軍馬の後を追いかけて来る者があった。

今、信長の前を退って。

そしてこれから短兵急に、敵の鳴海へ奇襲すべく、善照寺の峰下から間道へと、疾風のように通りかけた佐々政次、千秋加賀守、岩室重休などの三百余人の決死隊なのであった。

「止まれッ」

隼人正政次は、

「誰だ?」

馬上から振り返った。

千秋、岩室の二将も、

「何者か?」

怪しんで、辺りへ云った。

もう決死の崖ぷちに足をかけている兵である。いかに覚悟の前といえ、眼はつり上がっている。心の平衡はとれていない。何者かと問えば、何者か? と、同じように動揺めき惑うばかりだった。

「御免ッ、御免ッ」

列の中を、こう叫びながら、掻き分けるように前のほうへ、駈け抜けて来た者がある。

「やッ?」

誰の目にも、すぐとまったのは、その若い武者の翳している旗差物の梅鉢の紋であった。

「おッ。於犬ではないか」

佐々隼人が、そういった声を目あてに、

「犬千代でござります」

と、その馬前へ来て、槍と共に大地へ伏し、

「お伴れください!」

犬千代は、叫んだ。

隼人は、彼が今日あることを、意外とはしなかった。弟の成政から、常々、それとなく噂も聞いていたからである。