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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「暫時、御辛抱くださいませ。今、雨覆いの幕を懸けさせまする」

幕将のひとりが、大声で、雑兵たちを呼びたてた。その返辞はなかなかない。真白な雨しぶきと、樹々のうなりに、こちらの声も宙へ攫われてしまうし、彼方の声も届いては来ないのである。ただ、旺んに炊事の煙を吐いている兵站部の幕の蔭で、薪を割る音ばかりが高くしていた。

「足軽頭ッ。足軽頭ッ」

幕将のひとりが、雨を衝いて、外陣のほうへ駈け出して行ったと思うと、異様な声が辺りに湧き上がった。

唸き声。大地の音。打物と打物との烈しい響きなどである。

しかし、暴風雨は、皮膚の外のみでなく、義元の頭脳のうちにも荒れて混乱させていた。

「やッ、何じゃ? 何かッ」

事態の正視がつかない眼いろだった。幕将たちも、惑うばかりで、

「裏切ではないか」

と、いってみたり、

「また、雑兵どもの、喧嘩沙汰ではないか」

と、いったりした。

しかし、何事に依れ、そこらにいた侍側の将士たちは、無意識にも、義元の身のまわりを桶のように囲んで、咄嗟に、警備の形を作った。そして槍を、太刀の柄を、各※(二の字点、1-2-22)が持ち構えて、

「何かッ、何事かある」