Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
――いずれにせよ、ゆかしい仁であった」
義輝は、そんなことで知っているという意味を、さりげない雑談にいうのであったが、聞く信長には、亡き父に対して、新たな追慕と大愛が思い出され、しばしは、さしうつ向いていたことであった。
信長は、何人よりも、自己を信念することにつよい性質だけに、ともすれば、父と子との情愛を離れては、父をも、さしたる武人とは思わなかったが、自身が実際の世につき進んでみると、何処にもここにも、父の遺して行った子のための捨石が築かれてあったことに気がついて来た。その遠謀と、愛の大きいことが、近ごろ分りかけて来たような気がするのであった。
たとえば、亡き後の子の経営に、平手中務や、その他の良い家臣らに目をかけておいて、遺して行ってくれたのも、今となれば、ひしと有難さを思う。
また先頃の桶狭間の大捷にしてもそうである。あれは自分の乾坤一擲が奏功したのだと一時は思ったが、よくよく後になって考えてみれば、今川の上洛計画は、すでに父の生きていた頃からのことで、父信秀は、小豆坂や、その他の戦場で、幾度かその今川の気鋒を叩きに叩きつぶしていた。そして織田の将士に、強い敵愾心と多年の訓練とを、骨髄にまで、植えこんでおいてくれたものである。