Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
どこへ奉公にやられても腰の落着かない困り者と、聞いていたので素気なく追い返したが――その甥が、この猿が、どうしてまあ今日のような身になったか。
乙若は、眼のまえに置いて見ていても、信じられない気がする程であった。
だから今度の婚礼でも、
「果報のほどが怖ろしい」
とさえ、真実、親身なればこそ、藤吉郎のために、口を酢くしていうのだった。
「まあ、ともあれ、穢い家じゃが、上がってくれい」
あわてて奥の女房にも告げ、自身、案内に立ちかけた時であった。
垣の外で、誰か、
「陣触れ。陣触れでござるぞ。御用意あって、すぐお駈けつけあれ」
と、呶鳴って、その声は、隣から隣へと駈け伝えて行った。
「あ……? 召集のお布令じゃ。出布令の貝が、寄場のほうで鳴っている」
甥の新郎と新婦を導いて、家の内へはいりかけた主の乙若は、そのまま土間口に立ちすくんでしまっている。
その後に、藤吉郎も佇んだまま、遠くで鳴り出した貝の音や、近所の物声に、しばし、耳をすましたが、
「叔父御」
と、急に呼んで、
「召集布令でしょう。すぐお支度して、寄場へ駈けつけなければなりますまい」
「む! また遽かに、戦へ狩り出されるらしい」