Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
可児郷の明智城は、明智ノ庄の山間にあった。前時代の旧式な型をもった山城であった。
土岐源氏以来の長い家系と、時流の外にあって、山間の平和を保ってきたその城も、きのうから煙を吐いて、きょうの明け方からは、熾んに火の手をあげて、燃えていた。
外曲輪も、内砦とよぶ本丸の建物も、もう焼け落ちようとしていた。
寄手は、稲葉山の斎藤義龍の兵だった。道三秀龍の居城鷺山を陥して、道三の首を長良川へ斬って捨てた余勢の軍が、ここへ殺到したものである。
明智光安入道は、元より道三秀龍に属していたので、乱が起ると共に、甥の十兵衛光秀や、子の光春と共に、稲葉山の兵に当って戦ったが、各所で敗れ、主の道三も討たれたので、故郷の明智ノ庄へ馳せ帰って、この小城一つを死地として、おとといから寄手の猛襲に防ぎ戦っていたのだった。
「裏切だッ――」
「裏切者があるッ」
炎の中に、味方のそんな声を聞きながら、光安入道も、
「今は……」
と、最後の運命を覚った。
砦の内を見まわすと、火の揚ってない所は、裏山の森林しかなかった。そこの穀倉と、「水の手」とよんでいる貯水池だけは、まだ焼けてなかった。