Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「あッ。あった!」

と、さけんで足を止めた。

洪水の時にでも、土を渫われて行ったらしい断岸に、楊柳の巨きなのが、根を露出して、水のうえへ屈み腰に枝を垂れている――

その樹蔭に、一艘の舟が、繋いであった。

こんもりと茂った夏柳の葉蔭は、川の水も、瀞のように穏やかで、そして暗かった。

「……手頃だ」

小六の部下は、すぐそれへ跳び乗って、一同のいる下流の岸まで、流して行くつもりでもあったか、そう呟くと、柳の根に巻いてある舟のもやいを解きかけた。

――すると。

「……?」

その兵は、ぎょっとしたように、眼の下の舟を見すえてしまった。

舟は、荷足舟ぐらいな、脚の浅い舟であったが、もう壊れかけていて、水あかに浸されているとみえ、危ないほど傾いでいる。

それでも、渡しに使えないこともないが、見ると、腐った苫を敷いて、舟の端に、高いびきで眠っている男があるのだ。

「何者……?」

と、その兵は、眼をみはってしまったのである。

なぜならば、ふしぎな服装と、ふしぎな容貌と――そして余りに不敵なほど――快げに眠っているからだった。

袖も短い、裾も短い、白晒布のよごれぬいた着物ひとえに、手甲脚絆をつけ、素足にわらんじを穿いた――大人かと思えば大人でもなく、子供かと思えば子供でもない男が――虚空へ向って身を仰向け、眉や睫毛に、夜露を置い