Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
「さ。……べつに何も、父から耳にしたこともないが」
「はてな?」
「ただ……。そういわれれば、今朝、父が鷺山のお城へ出向く前に、こんなことをいわれた。――御主君道三様と、義龍様との御不和、近頃、わけてもお険しい事情にあるゆえ、いつ何時、いかなる事変が起ろうも測り難い。常時、備えは怠りあるまいが、郎党どもも、不意の変に当って、武具馬具の用意など、あわてふためかぬよう、くれぐれも、早速の合戦に構えおれよ――と」
「叔父上がか」
「父が」
「今朝だな」
「いかにも」
「――それだ!」
十兵衛は、膝を打って、
「叔父上は、それとなく、今夜にも合戦があるぞと、暗に其許へ、注意して行かれたのだ。兵の謀略は、肉親にも洩らさぬが常。……しかし、叔父上だけは、すべてをご承知のことにちがいない」
「え、今夜にも……合戦が?」
「こよい、常在寺の森に集まる野武士というのは、道三様が、外部から引き入れた、乱波の輩かと思われる。――恐らくは、蜂須賀村の衆であろう」
「では、いよいよ、義龍様を、稲葉山からお取除けと、ご決意を遊ばして」
「そうだ」
と、十兵衛は、自分の判断に、自信をもって、強く頷いてみせたが、暗澹と、唇を噛んで――