Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
「そうして、会いたいのは、山々ですが、家を出る時、一かどの男にならなければ帰らないと、誓った言葉がありますから――それに、義父にはなおさら、今の姿では会えません」
今の姿――と、いう日吉のことばに、乙若はもう一遍、彼の身装を見直した。
白木綿が、鼠木綿と紛うほど、埃と雨露に汚れていた。油気のない髪、日焦に痩落ちている頬、どことなく、志を得ない人間の疲れと困憊が纒っていた。
「何をして喰っているのだ。この頃は」
「針売りをしていました」
「針売り」
「はい」
「奉公したのじゃないのか」
「二、三軒、武家の端くれみたいな家へ、勤めてみましたが」
「相変らず、すぐに飽きてしまうのだろう。もう幾歳になった」
「十八でございます」
「鈍に生れついた性分なら仕方がないようなものの、阿呆もいい加減にしろ、いい加減に。――馬鹿には馬鹿なりの辛抱づよいところがあるものだが、貴様ときたひには、その辛抱もない。これじゃあ、おふくろが嘆くのも、養父が持て余すのも、むりはねえや。……猿、いったい貴様あ、何になるつもりなんだ」
腑がいなさに、乙若はつい、久しぶりに会った日吉を、会う早々、叱ったり、罵ったりしたものの、心のうちでは、多分に、同情をもっていた。