Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
「もとよりのことだ。それは分っているが」
「駒をさし上げれば、殿のお気には召しましょう。しかし臣下のそういう気持も無視して、ただ御自身の卯月より、逸足と見て、すぐお望み遊ばすわがままな御気性がてまえには、口惜しゅうてなりません」
「…………」
「今の織田家が、危ういこと、てまえなど申すまでもなく、父上にはなおさらようくお分りでございましょう。――時折は、図抜けた御大器と思われるような場合もままございますが、所詮、お幾歳になられても、どうやらあのわがままと放縦な御気質は、天性かと嘆かれまする。あまりわれわれ家来達が、その御気性にはらはらして、わがままをお通し申すのも、忠義に似て、実はよくないことだと思っておりました。それゆえ、てまえもわざと、強情を張った次第でございます」
「いかん」
「いけませんか。てまえの心は間違っていたでしょうか」
「心底に忠義があっても、それではかえって、信長公の悪い御気性の方を、駆りたてておるようなものだ。――わしは、あの君様を、お乳の頃からお抱き申し上げ、わが子のお前たちよりも多く、この手に抱いて、お育てして来た。それゆえ、よう御性質も分っておるが、自体、大器でいらっしゃるだけに、細かい短所は人一倍お持ちでもある。