Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「それやあ、限りがないが……。せめて、槍一筋の武士になればなあ。……この祖父さんの遺物をさして歩けるようになってくれれば――わしは死んでも心残りがないのだ」

「…………」

日吉は、当惑したように、黙ってしまった。自信のない顔つきである。父の眼から眼を反らして、きょときょとしていた。

七歳の子どもだ。無理もない――と思いながらも、弥右衛門は、その頼りない挙動を見ると、

(やはり血ではない、境遇かなあ?)

と、心のうちで嘆息が洩れるのだった。

先刻から、日吉の母は、膳ごしらえをして、良人の話がやむのを、隅の方で黙って待っていた。

彼女の考えは、弥右衛門の考えとは、あべこべであった。

(侍になれ。偉くなれ)

と、子を励ます良人を、彼女は恨めしくさえ思った。そして密かに、

(こんな子に、無理なことばかりを。……日吉や、お父っさんは、御無念なので、あんなことばかしいうけれど、おまえまでが、お父っさんの轍を踏んではいけないよ。――愚か者なら愚か者でよいほどに、真面目に働いて、田の一枚でも持つような百姓になってくだされや……)

胸いっぱいに、子の行く末を、祈るのだった。