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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅのことば

新樹の言葉

太宰 治

Lesen Sie 新樹の言葉 (しんじゅのことば) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.156 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

湯槽に、からだを沈ませて、ゆっくり考えてみると、不愉快になって来た。どうにも、むかむかするのである。私が、おとなしく昼寝をしていて、なんにもしないのに、蜂が一匹、飛んで来て、私の頬を刺して、行った。そんな感じだ。全くの災難である。東京での、いろいろの恐怖を避けて、甲府へこっそりやって来て、誰にも住所を知らせず、やや、落ちついて少しずつ貧しい仕事をすすめて、このごろ、どうやら仕事の調子も出て来て、ほのかに嬉しく思っていたのに、これはまた、思いも設けぬ災難である。なんとも知れぬ人物が、ぞろぞろ目前にあらわれて、私に笑いかけ、話しかけ、私はそのお化けたちに包囲され、なんと挨拶の仕様もなく、ただうろうろしている図は、想像してさえ不愉快である。仕事も何も、あったものじゃない。いい加減に私を掻きまわして、いや、どうも、人ちがいでした、と言って引きあげて行くにきまっているのだ。内藤幸吉。いくら考えたって、そんなもの知りやしない。しかも、兄弟だなんて、ばかばかしい。人ちがいであることは、明白だ。いずれ、逢えば、すべての黒白は、つく筈だ。それにしても、私のこの不愉快さは、どうしてくれる。