Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ともぐい

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7

本庄 陸男

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7 (ともぐい) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.052 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

とも喰い

雪まびれになった阿母は、精根枯らした顔で帰って来た。一日村を歩きまわって、貰ったのは蕎麦殻の袋だった。それでも仔細に見ると多少の粉が篩い落されるかも知れないと云うのだ。

「救済いうて、一体何時のことやら――誰ももう耐え切れんわ。明日は役場に押しかけるんやと――」

そして袋を投げ出した。「食べるものかい?」と子供達は阿母の顔を覗き込み、袋の中に手を入れた。大きな児はそわそわしていた。

「蕎麦殻やないか? どうして食うん?」

「食うんじゃ!」と阿母は断言した。「挽臼の用意をせえ。早うせえ!」

挽臼の石に挟まれた蕎麦殻は、ぐしゃりぐしゃりと筵に落ちて来た。それを見ていた亭主は、広い掌でかすんだ眼を擦った。

「誰が役場の話した?」

「シギシャ(主義者)の辰つぁんやが、うちも今日は真心からそう思うて来たわい」

「兄にゃさえ居りゃあ何せ……何せ働き手は徴兵にとられるし、何せ……」

「食うものさえありゃあなア――」女房はその上愚痴らなかった。殻を篩って黒い鍋に溜めていた。

売るものは無茶な安値で、それさえ沢山はなかった。馬も痩せたが、売ってしまった。兵隊奉公の兄にゃが、北海道の百姓になった時、三年の年期で働きためた金で買った奴だったが、兄にゃが帰って来てからどんなにおころうが仕方がなかった。