Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ともぐい

日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7

本庄 陸男

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集7 (ともぐい) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.052 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

前夜

音のしないように板戸を開けた、親爺は煙管を横ぐわえにしてじろっと此方を見た。夜目にもその目が血走っていた、清二は腫物にさわるような思いで地下足袋を脱ぎ、井戸端に行ってゆっくり足を洗った。掘抜井戸の水が脚に流れ落ち砕けていた。

馬小屋で、馬が鼻をならし乍ら頻りにあがいた、首を上げると庭先を自転車が辷り込んで来た。村瀬だった。

「どうでえ?」と彼はひどくうれしそうな声で云った。

「出征兵士遺族の畑の、メーデー耕作とは、常任、頭が利くな?」

目だけ光らして清二は、だまって頷いた。すると村瀬は太い親指を鼻先に突き出し、二三度ふりまわしてニコッと笑った。こちらはまだ返事をしないうちに、気配に知った親爺が家の中から喚いた。

「清二ッ……何時まで脚洗ってるだッ……」

そして呼ばっただけで安心ならないで、ガラッと戸を剥ね開けてのしのし出て来た。

「明るみで話せねえ話を、まあだお前等ァしてけつかるのかッ……」

「何としても今夜は来てくれ――」村瀬は耳許で囁いて、あわてて別れた。清二は濡れた足に下駄をつっかけた。暗がりの戸口に立ちはだかっていた父親が、嗄れ声を低めて押しつけるように云った。