Japanische Klassiker mit Furigana
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はんぎゃく
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
矢田 津世子
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (はんぎゃく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.512 Zeichen · 34 Bildschirme
6
……今日は帰れよ。俺アとても忙しいんだ。おっ母アの坊主臭え香いを洗い落してからやってきなよ」
欽二は、母親の小さい肩を手で軽く叩いた。
「体を丈夫にしなよ」
お松は変に泪っぽくなり乍ら、後をも見ずに歩き出していた。
ワアッ 塀の中では喚声がかち合っていた。
6
この一週間以来、げっそり瘠せて碌に飯も食わないでゴロゴロしていた白痴の娘は、とうとう床についたその夜、激しい腹痛を泣き喚き乍ら母親に訴えた。真夜中になって、彼女は黒っぽい液体を何回も吐いた。便所へ行く度にひどい出血をした。悲痛な声を放って救いを求めた。お松は、娘を抱え、起し、寝かしつけ、彼女自身血まみれになって介抱した。
この騒ぎに、隣室の牧師は起き出してこようともしない。だが、お松は寧ろ彼の存在を忘れて夢中になっていた。
眼を擦り擦りやっと医者がやってきた。
帰りぎわに、彼は難かしい皺の中から囁いていった。
「僕は専門じゃないから判っ切り云えんがな、娘さんは飛んでもないことを仕出かしとる、立派に妊娠していられたものを堕胎剤を飲んでいるらしいて。これは恐しいことだ。全くもって。誰れか専門のお方に診察してもらわんとな。