Japanische Klassiker mit Furigana
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はんぎゃく
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
矢田 津世子
Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (はんぎゃく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.512 Zeichen · 34 Bildschirme
罠を跳び越える女
三階利札室は銃声のない戦場だ。
凄じい誰かの咳、猛烈な紙埃、白粉の鬱陶しい香いと捌口のない炭酸瓦斯の匍匐、
拇指と人差指の多忙な債券調査、海綿の音高い悲鳴、野蛮な響きを撒きちらす鋏、撥ね返るスタンプ、※、ナンバアリングの律動的な活動、騒々しい帳薄の開閉、大仰な溜息、金額を叫ぶソプラノ、算盤の激しい火花、ペン先きの競争的な流れ、それを追いかける吸い取り紙……
「ねえ、貸付けへすごいのが這入ったわ。見て? ナ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)アロ型のシャンよ……」
「そう。昼休みに見てこう。」
「あら、私もね。」
「桂子さんが慌ててるよ。チェッだ。」
「ハッハッハッハッ……」
笑い声が帯紙を吹きとばす。
「……こんな恰好の青い瓶に入ってるの。」
利札を切りかけで、真白になったテーブルの紙埃を掻き分けて、人差指が熱心に動いている。
「フン、ほんとに利くかしら?」
「それァね。一寸値が張るけど。でもね、余り使い過ぎるとほんとの***になっちゃうって……」
「加減しなきゃ駄目ね。」
「で、あんたその男にまいっちゃってるんでしょ?」
「とてもよ。そいでね、私、昨日逢った時思い切って云ってやったの。