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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんぎゃく

日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)

矢田 津世子

Lesen Sie 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (はんぎゃく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.512 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

撥ね上ろうと焦った。両側には二人の子供が寝息を立てていた。お松は周囲を眼で探した。やさしい笑皺の中に自分を見守っている眼があった。が、彼女はもう一度廻りを探した。ケン坊は、上の子は一体何処へ行っているんだろう?――

聖ヨハネ教会の沢木教父は、慈しみ深い微笑で先ずお松親子を安心させた。人手がないから何時迄もいてくれるように、と彼の方から嘆願した。お松は肚の底から涙をこみ上げさせた。世の中には神様がある、と思った。その日から、お松にとっては、沢木教父は生きたこの世のキリスト様だった。ピンピン凍りつくような二月の或る朝お松は洗礼を行った。水の冷たさが針になって全身を突き刺した。が、お松は声を放って祈りを続けた。

三日風邪で臥った。洗礼をうけてからは、お松は、自分は、神の子である、と堅く信じるようになった。重い使命を肩の上に感じた。

教父は説話の度にお松を指差してその再生を祝し、神様の救助と寛大に感謝した。その都度、お松は立ち上って、「神様と教父様の愛」に対して長い祈りをくり返した。信者連の間には動揺があった。教父の美しい行為を讃えないものはなかった。教会の輝ける誇りだと自慢するもの迄出た。