Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
老爺さんは、湯川というのも自分の本姓ではない。仙台屋敷に生れたから仙台様の藩士だろう。お留守居役だともきいたが、廻米の事に明るかった。父親もその役だったと見える訳があるから、江戸で生れた東北系の人である。
廻米とは仙台領の米を船で廻してくることで、その領地米を江戸邸で受取る役人なのだ。江戸詰の藩士の禄高通り全部米で与えたものなのか。あるいは金に代えて渡したものなのか。よくきいておかなかった。当時の蔵前の札差や、浜方などとの取引関係から、数算にたけ、世估に長じていなければならない、いわゆる世渡り上手の人物でなければならないのに、湯川氏はみいりのよい父祖の職をきらって御直参の株をかった。直参といえばていさいはよいが、木っ葉旗本、貧乏御家人の、その御家人の株を買って、湯川金左衛門邦純となったのである。湯川という姓は無論買った家の姓で、金左衛門も通り名である。しかも、養父――名ばかりの、御家人株の売手が拾歳下なので、嘘の年齢が出来上ったために、娘たちを妹にして幕府の人別帳に記入して貰い、とにかく御直参にはなった。が、すぐに幕府は瓦解した。株を売った真の徳川御家人の一人は、先見の明をほこって、小金貸でもはじめたであろうが、みじめなのは、新湯川金左衛門邦純であった。