Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
日本橋伊勢町の方に芦洲さんは住んでいた。肥った黒い、立派な押出しのおかみさんだった。大きい、勢いのいい店の内儀だったのだろうと思う。いま、東流二絃琴の正統な弾手として奮闘しているのは、この人のお弟子さんたちにちがいない。ごく若い娘さんたちで、名取になっていた人のあったことを思いだす。この派の弾き手なら、直門の正しい手法といえるだろう。ただ、私の子供の耳にも、やや余情のない、勢いのいい、ハッキリした芸風と思えた。
二絃琴は歌が――節がむずかしい。私はそんなふうにおぼえた。芦寿賀さんは節がやかましかった。曲をおぼえればそれでいいとしなかった。尤も、それは、きん坊とあんぽんたんだけで、あとの人は普通に、器楽の方を主にして教えはしたが、二人の子供は歌の方が三日、琴の方は一日で自分から弾けてしまった。
あんぽんたんは、二絃琴がどんなものか、おぼろげながら知っていた。私の家にも芦船師が来たのだそうだが、そんな事は知っていない。ただ二絃琴という名は知らないが、おしょさんの家で見るそれとおなじ楽器が私の家にもあったのだ。父が時たまとりだして、安座をかいて、奏管(琴爪)で琴につけた譜面の星を、ウロウロ探しあてて弾いていた。