Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
小りんさんは男性的だった。手習いがいやなのではなく、寺院の夫人さんが、針ばかりもたせようとするのが嫌だったのだ。もっとも、近松や西鶴の生ていた時代に遠くなく、もっとも義太夫節の膾炙していた京阪地方である。女子に文字を教えると艶文ばかり書くと、文字を教えたがらなかったという土地がら、文盲をつくるのに骨を折ったのであろう。
彼女はお寺の墓地で、竹の棒をもって男童たちと遊びくらした。お彼岸の蒔絵の重箱の中にはお寺さんへもってゆくお萩餅が沢山はいっている。寺の門近くくると、重箱をもって来た下男を帰してしまって、遊び友達の一日の食料をもっている事に満足した。犬蓼の赤い花の上に座ってお萩をたべる子供たちの、にこやかな頭の上には高い空があった。文化の昔の女団長の頭の、やっと結わえた蝶々髷には、赤トンボがとまっている。
「もっと食べよ。」
「もうこんなにお腹大きくなってしまった。」
あぶらやさんをかけた男の子が胸をのしてみせる。あんこのついた指をしゃぶるものもある。鼻の頭へ黄豆粉をつけているものもある。上唇についた黒ごまと鼻汁とを一緒になめているものもある。
そこで困った事は、残ったお萩の始末で、食べ残しをお寺へもってゆけない。