Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
平日は重い口が、顔が赤銅色に染まると、
「××屋は、すっかり殿さまぶっちまやがって、芸妓が来ても、おお、来たか、近う近うなんていやがる。夜っぴてよ、蝋燭でよ、銭勘定したり、横浜までゆくのに、旅費がなくって、宿場の牛太郎までしやがったことわすれてやがる。」
それは横浜に居ついて、旧大名の真似をした暮しをしている、輸入商になった、当り屋仲間のことだった。そのまがい殿様の奥さまは、大柄な、毛の多い、顔色の悪い女で、つとめをしていた女の上りだった。
××屋は広い店と、広い住居をもっていて、主人は白い長い鬚をひっぱり、黒ちりめんの羽織で、大きな茵に坐り、銀の長ぎせるで煙草をのみ、曲をおき、床わきには蒔絵の琵琶を飾り、金屏の前の大瓶に桜の枝を投げ入れ、馥郁と香をくというおさまりかたなので、
「いやな奴だ。」
と、くさしながら、どじょう汁の大旦那も、古道具やから、高価な偽物をつかませられる好いお顧客だった。
おおかめさんは、家では金が出来てしかたがないのだといった。いつでも、せまいほど家のなかがウザウザして、騒々しい家だった。樽づめのお酒を誰かしら飲口を廻していた。