Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

と裳をずりおろすようにして止めた顔と、まだ掴んだままの大な銀貨とを互に見較べ、二個ともとぼんとする。時に朱盆の口を開いて、眼を輝すものは何。

「そのかわり、ことづけたいものがあるんだよ、待っておくれ。」

とその○□△を楽書の余白へ、鉛筆を真直に取ってすらすらと春の水の靡くさまに走らした仮名は、かくれもなく、散策子に読得られた。

君とまたみるめおひせば四方の海の

水の底をもかつき見てまし

散策子は思わず海の方を屹と見た。波は平かである。青麦につづく紺青の、水平線上雪一山。

富士の影が渚を打って、ひたひたと薄く被さる、藍色の西洋館の棟高く、二、三羽鳩が羽をのして、ゆるく手巾を掉り動かす状であった。

小さく畳んで、幼い方の手にその(ことづけ)を渡すと、ふッくりした頤で、合点々々をすると見えたが、いきなり二階家の方へ行こうとした。

使を頼まれたと思ったらしい。

「おい、そっちへ行くんじゃない。」

と立入ったが声を懸けた。

美女は莞爾して、

「唯持って行ってくれれば可いの、何処へッて当はないの。落したら其処でよし、失くしたらそれッきりで可んだから……唯心持だけなんだから……」