Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
これだけ持って、おまえは一と足さきへ行ってくれないか。わたしは一旦家へ帰って、後金を都合してから追っ掛けて行く。なに、嘘じゃあない、きっと行く」
「いけない、いけない」と、女は嘲るように又云った。「そんなことを云ってうまく誤魔化して、十両にも足りない手切れ金で、あたしを体よく追っ払おうとしても、そうは行きませんよ。あたしのような者に魅こまれたのが因果で、あたしは飽くまでもお前さんを逃がしゃあしませんよ」
「いや、決してそんな訳じゃあないが、まったく五両や十両じゃあしようがない。いや、隠しているんじゃない。疑うなら出してみせる」
話し声はひとしきり途切れて、暗いなかで金をかぞえているらしい音が微かにきこえたかと思うと、だしぬけに床几の倒れるような物音が響いた。つづいて男の唸り声もきこえたので、半七は隣りの葭簀を跳ねのけて出ると、出あいがしらに女と突き当った。女は転げるように往来へ駈けぬけてゆくのを、半七は跣足になって追いかけた。二、三間のうちに追い付かれて、食いついたり、引っ掻いたりして必死に反抗した女は、とうとう泥だらけになって土の上に引き伏せられた。