Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
と、松吉はのんきそうに云った。
「まったくだ。これで御用がなけりゃあ猶更いいんだが、そうもいかねえ。まあ、浜見物をするつもりで出かけるんだな」
「そうですよ。わっしは是非一度行って見たいと思っていたんですよ」
一昨年(安政六年)の六月二日に横浜の港が開かれると、すぐに海岸通り、北仲通り、本町通り、弁天通りが開かれる。野毛の橋が架けられる。あくる万延元年の四月には、太田屋新田の沼地をうずめて港崎町の遊廓が開かれる。外国の商人館が出来る。それからそれへと目ざましく発展するので、この頃では横浜見物も一つの流行ものになって、江戸から一夜泊まりで見物に出かける者もなかなか多かった。
年の若い松吉は御用の旅で横浜見物が出来るのをよろこんで、江戸をたつ時から威勢がよかった。半七は去年も一度行ったことがあるので、まず大抵の見当はついていたが、日増しに開けてゆく新らしい港の町が一年のあいだにどう変ったかと、これも少なからぬ興味をそそられて、暮春の東海道を愉快にあるいて行った。
その頃は高島町の埋立てもなかったので、ふたりは先ず神奈川の宿にゆき着いて、宮の渡しから十六文の渡し船に乗って、平野間(今の平沼)の西をまわって、初めて横浜の土を踏んだのは、その日の夕七ツ半(午後五時)頃であった。