Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
どこかの香具師の家にでも飼ってある奴が、火におどろいて飛び出したんだろう。伊豆屋でさっき聞いたんじゃあ、あの熊のために二十人からも怪我をしたそうだ。こんな噂はとかく大きくなるもんだが、話半分に聞いても十人ぐらいは飛んだ災難にあったらしい。馬鹿なことがあるもんだ」
その日はそれで帰ったが、熊の噂はだんだんに高くなった。それは麻布の古川の近所に住んでいる熊の膏薬屋が店の看板代りに飼って置いたものであることが判った。膏薬屋は親父とむすめの二人暮しで、自分の子のようにその熊を可愛がっていたが、火事の騒ぎで逃がしたのであった。店は焼かれる。看板の熊には逃げられる。おまけにその熊が大勢の人を傷つけたというので、父娘は後難を恐れて、どこへか影をかくしたと伝えられた。
しかしその熊の死骸はどうなったか判らなかった。
三
それから二、三日の後に、備前屋では車湯の勘蔵に十両の見舞金を贈ったということを半七は聞いた。
夫婦や娘たちは橋場の親類から戻って来たが、娘のお絹は火事の騒ぎにあまり驚かされたので、その以来はどうも気分が悪いと云って床に就いている。そうして、ときどき熱の加減か囈言のように、「あれ、熊が来た」